10月からPodcastを始めました。
ことばを描く(ノブトウPodcast)
文章で考えることには慣れていましたが、「声で話す」という表現には、また違った可能性があると感じたからです。
とはいえ、正直に言うと、機材についてはほぼ知識ゼロでした。
マイクはどれも似たようなものに見えますし、高そうなものを買えば音は良いのだろう、くらいの認識しかありませんでした。
DJI Mic 2、Mic 3、Mic Miniといった名前を見ても、違いはよく分からず、ガジェット系のレビュー記事を読んでも、スペック表ばかりで判断に迷っていました。
そこで、BJJ LABで一緒に仕事をしている星さんに相談してみました。
星さんもPodcastをやってます:『星家の夫婦ラジオ』
星さんとのやりとりで気づいた前提のズレ
星さんからの返答で、最初にハッとさせられたのは、DJI Mic 2の収録機能(厳密には位置づけ)についてでした。
DJI Mic 2などは、正確には「マイク」ではなく、録音ができる送信機と受信機のセットです。
私はそれまで、DJI Mic 2を「音が良いマイク」だと思っていました。
しかし実際には、DJI Mic 2の価値は音質そのものではなく「録音を成立させる仕組み」にありました。特に移動中や教則動画の撮影などで効果を発揮します。安心して録音ができるというのが大きい。
DJI Mic 2(3も)が優れているのは、以下の機能が組み合わさっているからでした。
DJI Mic2の強みは、ワイヤレス・内部収録・32bit float
ワイヤレス
まずワイヤレスであること。
ケーブルがないため、歩きながら話すことができますし、車内でも邪魔になりません。体を動かしても音が大きく変わりにくく、話すことに集中できます。
内部収録
次に内部収録です。
DJI Mic 2は、送信機そのものに音声データを保存できます(これはMic miniにはない機能)。スマホやPCに接続していなくても録音でき、万が一通信トラブルが起きても音が残ります。これは「録れていなかった」という最悪の事故を防ぐための保険のような機能だと感じました。
32bit float
さらに32bit floatという録音方式があります。
これは、声が大きすぎても小さすぎても、あとから適切な音量に戻せる仕組みです。Podcast初心者にとって、音量を気にしすぎず話せるという点は、想像以上に大きなメリットだと思いました。
これらが組み合わさることで、DJI Mic 2は総合的に「安定して録れる」機材になっています。音質を追い込む機材というより、失敗を減らすための道具だと理解できました。
ラベリアマイクという存在を初めて知る
もう一つ、完全に盲点だったのがラベリアマイクの存在です。
テレビ番組などで襟元についている小さな有線マイク。あれがラベリアマイクと呼ばれるものだということを、恥ずかしながらこのとき初めて知りました。
DJI Mic 2は音質を徹底的に追い込むための機材ではありません。音質だけを追求するなら、自宅などで固定のダイナミックマイクなどで録る方がいいでしょう。
星さんから教えてもらったのは、DJI Mic 2の便利な使い方でした。送信機にラベリアマイクを接続し、音はラベリアマイクで拾い、送信機本体はポケットなどにしまう。この説明で、DJI Mic 2とラベリアマイクが役割分担していることが一気に腑に落ちました。
ラベリアマイクがなぜ効くのか
ラベリアマイクが有効な理由は、とてもシンプルです。音声収録で最も重要なのは、マイクの性能よりも口との距離です。ラベリアマイクは、口からほぼ同じ距離、同じ角度を保ち続けることができます。その結果、声の芯が安定し、音量のブレが少なくなります。
また、DJI Mic 2本体を襟元につける場合と比べて、服擦れや角度ズレが起きにくい点も大きな違いです。音は小さなラベリアマイクで拾い、送信機はポケットに入れるのが良いとのこと。この構成にすることで、音も見た目も安定するそうです。
そもそもガジェット機能はスペックの比較よりも用途で選ぶのが良い
DJIが音声を追求していないことは欠点では全くなく、使い方やコンテンツ設計の思想の違いでしかありません。DJI Mic 2は「どこでも、失敗せずに録る」ことを最優先にしているだけという。音を拾う部分だけを別で補強するという考え方が合理的になります。
僕の場合、歩きながらまたは車で移動中に収録することを想定しているので最適のチョイスと言えます。録って出し(?)という表現が適切なのかわかりませんが、移動中の収録でもPodcastらしい語りの質感に近づけばいいなと思いました。
機材の話がコンテンツ設計の話に変わった
まだ10数回しかコンテンツを出していないのですが、Podcastを続けていくと、必ずインプットの限界が来ることは想像できます。今のうちから安定してコンテンツを作る方向を模索しないといけないなと。
ふと、僕は一人で語り続けるより、人から話を引き出す役の方が向いているのではないかと思っています。仕事でインタビュー記事の作成はたくさんやってきたし、依頼もよくあります。聞き手(かつ編集者)としては能力があると言って良さそうです。
今後、対談も取り入れてくことになるので、常に二人分を安定して録れる機材が必要です。ということで、最適な機材がわかったので本当に助かりました。
これからPodcastを始める人へ
まだPodcastは大したことがない僕ですが、物事を始める・続けるのが得意なので、その観点からアドバイスします。
とりあえずは手持ちのスマホで録ってみることをお勧めします。
いきなり高価な機材を買って(いわゆる「形から入る」)、後戻りできない状況でやることも悪くはないと思いますが、コンテンツ制作・発信は用途や思想が大きく絡むので、いくら効果でも用途に合っていない機材を使うことになると大きなロスが発生します。
まずは走って模索しながら機材を選ぶのが良いですね。今やりたいことだけでなく、これから作りたいコンテンツを見据えて選ぶべきだということです。
物事の続け方については、先日Podcastでお話ししたので、ぜひそちらもお聞きください。
それでは、また。


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