イスラエル売春宿事情

旅・移住のこと

注釈
この記事は2012年4月に書いたものを2019年6月にリライトしたものです。
訳も分からないまま売春宿にくり出すことになったある夜の出来事を時系列でつづっています。
最後にここに登場する友人の現在を書いています。2019年1月から、イスラエルでは売春が法律で禁止されました。2012年当時は黒に近いグレー。警察も緩かったし、売春宿はそれなりに知られていた。そのニュースを読んだ時、あの時売春宿で働いていた人たちは今どうなっているのだろうと思い浮かびました。もう7年も前だし、彼らが売春から足を洗っているのを願うばかり。

ヘブライ語を初めて実地で使う

先週のシャバット(安息日・金曜日の日没から土曜日の日没)のこと。

多くの生徒は日光浴をしながら昼間からマリファナを吸い酒を飲み、そんななか僕はひとり教室で勉強し休憩にテニス(一人で壁打ち)をして過ごした。

シャバットのあいだは公共交通機関が完全にストップしているため、日が暮れた頃になって、前日首都・テルアビブに遊びに行っていた学生たちの多くが帰ってきた。

アレックスからの相談

教室のすぐ外で煙草を吸っていると、グルジア人のアレックスが携帯電話をよこしてきて「タクシーを呼んでくれ」と頼んでくる。

「お前英語できるから呼べるだろう。それに今まで何度も呼んでるだろ?」

と僕が言うと、「いや、それがな」と彼はやや赤面な様子。彼の英語は日常会話がまずまずこなせる程度(僕も同じくらい)。

「これからニコライたちとプロスティチュート(売春宿)に行こうと思ってるんだけど、どう訊けばいいのかわからないから。それにタクシーの運転手は英語が通じないことが多いだろ? ヘブライ語で何とか交渉してくれないか」

「俺に訊かれても困るよ」と僕は言った。僕はいつもヒッチハイクか徒歩で移動するしタクシーを呼んだことさえない。「ヘブライ語もそんなにできないしな。まあでも面白そうだからやってあげよう」

ということでアレックスの携帯電話から電話する。

「アロ。イッシュ、レハー、ハモニィト」(タクシーを一台頼める?)さっそくヘブライ語を使ってみる。

「エイフォ アタ? レアン?」と(どこにいるんだ? どこへ?)。ここの場所と人数を伝え、「ベイト・ゾナに行きたい」と伝える。

売春宿なんて単語は習ってはいないが、直訳で「売春婦の家(宿)」という意味である。相手はすぐにわかり笑いながら「ミスター。『ベイト・ゾノット』だよ」と言う。複数形なのかとここでまず一つ勉強。

近くの大きな街に何軒かあると男は言う。僕はそれを横にいるアレックスに伝える。いくらまでなら出せるんだ?と言うと、相場がわからないから訊いてみてくれと言う。

「値段はわかる?」と僕は電話係りの男に言う。

「詳しくは運転手に訊いてくれ。近くに一台空いてるからすぐに寄越す。5分後」と言って会話は終わる。

「というわけで、運転手に訊いてくれとのことだ。もうすぐ来るから用意しておいて。まあ楽しんできてくれ」と僕はアレックスに言った。

「運転手が来たら詳しく訊いてくれないか?」

「だいじょうぶ。何とかなるよ」

「頼むよ。売春宿行くなんて初めてだからさ」

アレックスは20歳、一緒に売春宿に行くグルジア人のニコライは21歳、ロシア人のスタスは20歳。三人とも若い。

みんな身長180センチは超えていてガタイはいい。幼い顔とのギャップがある。

外国のことはよく知らないがその歳だったらまだそういう経験がないかもしれない。

結局僕もタクシーを待つことになる。

スタスが「モトヤスも来いよ。いっつも勉強ばかりしていたら頭が爆発するぜ」と言う。アレックスもそうだそうだと言い、「タクシー代は俺らが出すし、モトヤスが来たらとても助かる」と笑う。

悩みに悩んだ挙句(4秒ほど)、「しょうがないな。俺がついて行ってやるよ」とややしぶい顔をしてみせる。「もし先に女が確認できてそれから金を払うなら俺も参加しよう」

というわけでヤリタイ盛りのスラブ系若者三人と、年々性欲の低下に悩む26歳の日本人の四人で行くことになる。

イスラエルでは売春はグレーゾーン

イスラエルでは売春はグレーである。外国人が見つかれば逮捕されることはないが、たいてい罰金か国外退去になる。日本のように政府公認の風俗といったものもない。

聞いたところによると、警察の手入れはほとんど情報がどこからか漏れるらしく、その日は営業していないらしい。警察が踏み込んで店側が退去させられることはあっても客が捕まることはないと以前聞いたことがある。それはエルサレムの街を一人ぶらぶら歩いているときに声をかけてきた一人の客引きの男から聞いた。その日僕らは話がはずみ、結局二人で飲みに行った(男は仕事をサボった)。聖地にもちゃんと性地はあるのだ。

はっと気づく

その瞬間ハッとあることに気づいて彼らに僕は「いまハシシかマリファナ持ってるか? もし職質されたら捕まるから持って行くなよ」と僕は若者三人に言う。

前述のエルサレムの夜、男と別れホテルに戻る道中に三回も警官の職質に遭ったことを思い出したのだ。イスラエルの警察は日本とは違って調べ方がかなり細かい。靴下まで脱がされ、下着の上からだがズボンに手を入れられた(もちろん三回とも)。

ニコとスタスはマリファナを財布に入れていて、それを出させちょうど通りかかったツレたちに預けさせた。

「どこへ行くんだ?」ともちろん彼らは訊く。

僕が「これから四人で女を買いに行くんだよ」と言うと、僕が教えてあげた「Hentai, Japanese」を背中に浴びせられる。

タクシーが来る。運転手に場所とおよその値段を訊く。

前述のとおりイスラエルでは売春は違法であるから、路上で捕まえるか、隠れた場所にある売春宿の二つの選択ということである。前者は見た目で選べるという利点があるがいざ着いていくとそのまま拉致されたというケースを何度か聞いたことがある。それを運転手に尋ねると、「たしかに路上は危ない。私、いくつかいい場所知っている」と片言の英語で言う。

「値段はいくらだ?」

「最低150シェケル」。日本円で3000円と言ったところ。物価から考えるとだいぶ安い。

「時間は?」

「だいたい20~30分のところが多い。足らなかったら同じ料金を払って同じ時間」

日本ならそこで「本番(挿入)はアリかナシか?」と聞くところだけど、そんな特別なシステムを持っているのは日本だけらしいから、わかったと答える。

僕が今いる語学訓練所はハイファというイスラエル第二の街から10キロほど離れたところにある。ハイファは大きく二箇所の商業地に別れている。近い方がレブ・ハミフラズ、もう一方をカルメルと言う。どちらも大きなバスセンターがあり電車も通っている。そのあいだにはイスラエル唯一の地下鉄もある。

安息日を切り裂く男たちの興奮

シャバット明けの街がやや動き出したかなといった時間帯。野郎4人を載せたタクシーはびゅんびゅん飛ばし進む。
レヴ・ハミフラズの繁華街を逸れ、あきらかに人が住むための地区、それもかなりうらぶれた住宅地と言ったところにタクシーは入る。路地は細く、街灯もところどころにしかない。いったいどこに連れて行かれるんだろうなと思う。他三人はロシア語で話すため、僕はずっと黙ったまま観察するように周りの景色に目をやる。運転手も警察を注意しているのか、それともこの混みあった住宅地のどこに売春宿があったのか忘れて思い出そうとしているのか、かなり回りをきょろきょろしながらのろのろと走る。

売春宿に着くも・・・

「ポー(ここだ)!」と運転手は言う。タクシーが停まったのは、五階建てアパートの裏の空き地だった。

「どこだ? この建物?」と僕らは聞く。

「ここの五階。~~~~」

よく聞き取れず、何度も聞き返してやっと分かる。「五階につづく通常の階段は閉ざされ、裏の非常階段から降りる」とのこと。どんだけ怪しいんだよ。見上げてみるが、最上の五階には電気がともっていないように見える。

「あいてるのか?」

「だいじょうぶ。前に連れて来たから」と運転手は言う。

「よし待ってろ」

と、公称忍者の最年長ノブ氏(非常時に教室の壁を手だけで登り天窓から脱出したからニンジャと呼ばれるようになった普通の日本人男性)は三人を残してアパートの非常階段を登る。非常階段からフロアにはつづいているが、扉はどこも閉ざされ、扉に耳をつけてもまったく音がしない。防音してるのか。もっともそれらしき扉を何度もノックする。応答はない。結局タクシーに戻る。

「本当にここなのか? 距離稼ごうとしてるんじゃない?」最後は英語である。

「ポー。ポー、ポー!」向こうはヘブライ語である。

イスラエルのタクシー運転手の8割はずるい奴らばかりだから気をつけなければならない。

「よし、仕事仲間に確認しろ」と僕は言う。気分はジャック・バウアーである。運転手はしぶしぶ電話をかける。そして、やはりここだ、と言う。

売春宿は住宅地に点在している

するとスタスが非常階段ではない通常の階段から登ってみると言い、タクシーから出ていった。スタスはなかなか戻ってこない。何かあったのかなと心配していると、知らない男と降りてくる。男はやや怒気を含んだような様子。男はまず運転手に話しかけ、それからスタスにややとげとげしい口調で話す。それはロシア語だった。スタスが車にもどり、事情を聞く。

「彼はここの住人らしい。先月までここに売春宿があったらしいが、先月警察の手入れを受けて無くなったらしい」

おそらくその男が運転手に言ったのは「こっちは迷惑してんだよ。もうここには何もないから誰も連れてくるな」というようなことだと思う、十中八九。イスラエルにはたくさんロシア系の移民が多いからロシア語が話せる人間はそこらへんどこにでもいる。とりあえず無駄に待つことはなくなったわけだから感謝しないといけない。

運転手がささやく

「この近くにもう一軒知っている」と運転手は言う。

「運賃はこれ以上払わないからな」と僕。

「わかってる。だいじょうぶだ。ただそこは若い女があまりいない」

げんなり、と僕は思ったが、やりたい盛りの若者たちは「よし、とりあえず行こう」と盛り上がる。期待が裏切られ新しい光が見えた彼らに豚を差し出せばそそくさとヤルだろうなと思う。暗い車内なのに目が血走っているように見えた。

おもったより離れていなかった。5分ほどで着く。このビルの裏手にある家が売春宿だと言う。ズボンにこすれてそのまま発射するのではないかというくらい興奮した若者三人は足早に行く。「ミスター、マネー、マネー」となぜか僕が金を払うことになる。このままうやむやにされるのではないかと思ったが(実際そうなった)、見失わないように釣りも受けぬまま後を追いかける。

ついに売春宿に入る

彼らの姿はなく、民家の入口しかない。やや不安に思いながらも扉を押し開ける。

おそらくリビングをそのまま使っていると思われる待合室がある。その部屋から三方に扉がある。ソファではくたびれた服を着たおっさんが腰掛けケータイをいじっている。僕らの姿をちらりと見て、すぐに手元に顔を戻す。入口からは死角になっているが、数歩足を踏み入れて左手に天井の低い部屋ともいえない、まるでそこだけ壁を大きくえぐったようなスペースがある。

そこにはソファーがあり、女が三人腰掛けている。バスタオルだけの女、下着だけの女、どの女も化粧が厚い。二人は白人で、一人はアラブ系。人種は異なるが見るからにオール娼婦といった感じの顔つきをしている。身体はわりと肥えている。

僕は「こりゃ、店を変更だろうな」と思った。アレックスとニコはにこにこして「お前どっちにする」というようなことを軽く指差しながら言っている。

ジャバザハット

女たちの座るソファの横に小さな扉から巨漢の女が出てくる。60歳前くらい。赤毛でパンチパーマで大阪のおばちゃんを五人スープで炊いて肌だけ脱色したような女。

まさかこれも娼婦なのかとも思ったが、巨漢の老女はここのオーナーだった。パイプタバコを持っていて貫禄は十分。薄暗い部屋にともる赤色灯を無骨な指輪が反射させている。いかにも叩き上げといった感じだ。まちがいなく若いころは娼婦をしていたのだろう。

「ボーイ。どこから来た?」と女主人は言う。誰に言ったのかはわからない。

アレックスが「ウルパン(ヘブライ語語学訓練所)です」と正直に答える。別に都合の悪いことはないのだろうが、あまりに正直に答える彼に驚てしまった。

「どこの国から来たんだい?」と女主人はそれを無視して訊く。

「ロシアです。他の二人も」とアレックスは言う。アレックスはグルジア出身。なぜ出身国はいつわって、どこから来たかを平然と言うのか、これはよくわからない(今でもよくわからない)。

女主人は一人の娼婦に声をかける。すると女はロシア語でアレックスに何か言う。それから会話がはじまる。僕はもちろん何を話しているのかわからない。スタスが耳打ちして「女たちはウクライナ出身らしい」と教えてくれる。

イスラエルの売春宿で働く女性たちは

いつか読んだ新聞記事を思い出した。その記事ではイスラエルではマフィアが現地の同種の組織と手を組みウクライナ、ベラルーシを中心に東欧から女を斡旋し入国させている。マフィアはパスポートを取り上げ、女たちを過酷な条件で「性の奴隷」として働かせている。国はそのことを知っているが、売春が非合法であるイスラエルではそれを必要悪として黙認しているとのこと。いま目の前にいる女たちがそうなのかはわからないが、毎年相当な数の女がイスラエルに連れて来られているらしい。これはまあイスラエルでは有名な話で以前話したおっさんから「イスラエルでイスラエル人の女を買うのはとても難しい」という話を聞いたことがある。

「どの子にする? いま三人あいている。もう一人はあと5分であく」と女主人は言う。「20分、200シェケル(4500円)。5分おまけしてやろう。それ以降は10分120シェケル」

僕はスタスに耳打ちし「俺の好みじゃないな。パスか店変更だな」と言った。しかしそのときにはアレックスは一人の女を指名し、そのまま個室に消えていった。ニコは僕とスタスを見ながら「何が不満があるんだ? 日本人の好みはわからないね」と笑いながら別の女と一緒に消える。

スタスは「選ぶか待つか、どちらしかない。どうする?」と言う。「俺は待つよ」と言う。

ここまで来ておいて言うのもなんだが、もともとはイスラエルの売春宿の様子に興味があっただけで実際に女と寝るのはどっちでもよかったのだ。これは本当に。というのもどんなに趣向を凝らした店だろうが、ただの桶屋だろうが、最後は同じことをするだから。スタスはアラブ系とおぼしき肌の黒い女を選び、個室に消えていった。一瞬あいた扉から部屋の中が垣間見えた。スポットライトがなぜか下から天井方向にまっすぐ伸びているだけで、たいした広さはなく、ベッドの端が見えるほどだった。

隣のおっさん

ソファに腰掛けて待つ。くたびれたおっさんがケータイいじりに飽きたのか僕に声を掛けてくる。「ヘブライ語は話せるか?」とヘブライ語で訊いてきて、少しだけと答えると、英語に切り替えた。

「どこから来た?」

「日本」と僕は正直に国を答える。

そうかそうかと言って、すでに巻かれた状態のジョイントをポケットから出し、薄い唇にくわえ火をつける。ハシシ(大麻樹脂)をまぜたタバコの香りだ。

「客じゃないんだ?」と僕は言う。

「ここの者だよ。いまは休憩中なんだ」とうまそうにジョイントをふかす。

「日本人がここに来たのは初めてだよ。どうして寝ない?」

女たちがいたソファに腰掛けていた女ボスも「日本人が来たのは初めてだね」とヘブライ語で言う。
僕は好みの女がいないと言っていいものか迷ったが、他にいい言い訳もないから「好みの女がいない」と答える。

「それは仕方ないね。値段は安いだろ?」と女主人は言う。

「まあまあかな」

「日本はいい女がいるのか」とおっさんが言う。

「店によるかな」

ふーんと言う。そのあいだ三方の扉からは娼婦たちの仰々しい誇張の含まれた喘ぎ声が聞えてくる。ニコが入った部屋からは「アタ、ロツェ、アタッ、ロツェ」(直訳すると、「あなた、欲しいの? 欲しいの?」といったところ)と聞えてきて僕は笑いそうになったが、もちろんそんなことは当たり前のことである二人はまったく気にしていない。

「最後の女はアラブ系?」と僕は訊いてみた。

「そうだよ。アラブだ」と主人は言う。

「ムスリム(イスラム教徒)?」

「たしか。どうだったかな」と女主人は男に言う。

「ムスリムだ」と男は言う。

「ムスリムはこういう仕事についてもいいの?」

「何が?」と二人は言う。

僕が自分が何を訊くんだったかなと思い出そうとしていると、男はどう先読みしたのかはわからないが、

「アナルを使うんだよ。ムスリムの女は結婚まで処女じゃないといけないからな」と言う。グフフフフとヤニだか何かのドラッグだかで黄土に変色した歯を見せながら笑う。

「そりゃ、すごいね」と僕は言った。それはすごい。

そこで話は途切れた。もちろん沈黙はおとずれる気配はなく、ひっきりない女の喘ぎとたまにフンフンと漫画の吹き出しを描いても構わないほどの男の荒い鼻息が聞える。行き場のない性欲を吐き出すためだけに存在するここは、おぞましい量の精子が殺される屠殺場と例えることもでき……ませんけどね。

僕はソファーに腰掛けたままずっとタバコを吸っていた。こういうとき日本だったらケータイをいじって時間をつぶせるのだがと思った。とはいってもひっきりなしに聞こえてくる喘ぎ声に笑いをこらえるので精一杯だった(そう、僕だけ精がいっぱいなのだ)。

おっさんがくわえたジョイントを僕の方に差し出して「吸うかい?」と聞いてきたが、あの汚い口と間接的に触れるのは嫌だったから、断った。マリファナを吸うと音が独立して聞えてくるから、たしかにここでマリファナを吸っているととてもおもしろいことになるだろうなと思った。おっさんは終始にやにやしている。

アレックスは一番先に入ったことを除いても、他の二人に比べてだいぶ早く出てきた。「早漏」と僕が言うと、「もう二週間やってないんだ、仕方ないだろう」と笑う。アレックスはイタリア人の女の子とよろしくやっていたらしいが、どうもぽしゃったようだ。ここの訓練所は毎夜「あいのり」状態でしょっちゅうカップルがそのへんで話をしたり、ひと気がないところで野外セックスをしている。ニコとスタスが出てきたところで僕らは売春宿をあとにした。

驚いたことに運転手は待っていた。客を求めて車を流すより確実に帰ると決まっている人間を待っていたほうが得だと思ったのだろう。果てたばかりですっきり顔をした若者三人と、車を降りる前とまったくテンションの変わらないアジア人を乗せたタクシーは来たとき同様びゅんびゅん飛ばして同じ道を走っていった。

【追記】

部屋に戻ったのはたしかまだ日が変わってないころでおそるおそるルームメイトのスタスに「どっちの穴、使った?」と訊ねたところ、「え? ピズダ(ロシア語でヴァギナの卑称)だよ」とのことでした。あのおっさんの説明は何だったのかという疑問が大きく残った。

可能性としては以下の四つだと思う。

(1)おっさんは一般論を言っただけで、ムスリム教徒の女性すべてではないという可能性。

(2)女はすでに結婚していて、旦那のために働いているor旦那が死んでいるから、どっちの穴を使おうが関係ない。※ムスリム教徒の離婚は難しい

(3)そもそも女はムスリム教徒でもアラブ人でもなく、どこかの褐色肌の国から来た人間だった。

(4)僕とおっさん、どちら一方かもしくは双方に言語上の問題があってコミュニケーションが不完全だった。

(5)おっさんはそもそもマリファナに酔ってでたらめなことを言った。

2019年6月後記

その後の四人の状況をちょっと書いてみる。ちなみに全員仮名です。先月アレックスがFacebook上で結婚報告をしていた。モデルのような綺麗な女性と結婚した。ふとこの日記を思い出した。
(結婚した人の売春回遊をバラすのはよくないですが、特定されないだろうということで・・・)ニコは一昨年結婚して今年子供ができた。いかにもロシア系といった目鼻のはっきりした。奥さんと三人で仲良く暮らしている。
スタスの近況は不明。最後に連絡を取ったのは2年前。その前も昔付き合っていたシンガポール人の女の子(僕とも仲よかった)について訊かれたが、その子は消息不明でその旨を伝えた。みんな元気に暮らしている。今となってはこういう経験はできないけど、いい思い出です。
それじゃ、また。

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