父親になって1ヶ月が経とうとしています。娘は少しずつ大きくなっていて、検査の数値も良くなってきました。一安心。
子供を抱っこして話しかけると、僕の顔をじっと覗いたりする。目をキョロキョロしてみせる。新しい世界を楽しんでくれているようです。
父親になって変わったことといえば、死ぬまでに娘に託すことがあるなということ。すなわち、まだ死ねないなという想いが芽生えてきた。
29年前の今日、父が亡くなりました。火に焼かれ、遺体が非公開になるほど酷いものでした。
火が目前に迫ったところで父を除く家族三人は生き延びました。
姉は二階から飛び降りた。道を隔てた所にある祖母の家に着き、母は気絶し倒れた。姉はずっと泣いていた。
僕は近くの祖母の家に保護されましたが、そこを飛び出して鎮火するまで家が燃焼するのを見ていました。まだ四歳。それでも父親が死んだことも、もう会うことはできないのだということも理解できた。
『物心がついた』と言えるのはあの時からだろうか。父のことを忘れまいと色々紙に書いたはずだが、それも無くなり今ではそれ以降の記憶しか残っていません。
来年で30年。意外と早いものです。
よくよく考えてみれば、あれ以上の不幸には遭遇していない。まあ他には障害のある姉のことで虐められたくらいかな。
運よくここまで生きながらえたのも、いやそもそも生を授かったのも亡き父と母のおかげ。
四歳の子供を遺して亡くなることがどんなに辛いことだったか。せめて父が苦しずに亡くなっていたことだけを祈るのみです。
僕はもうしばらく生きなくてはなりません。多分僕が今死んでもしっかり者の妻が育て上げてくれるだろうけど、それでも何をのこさないとと思います。
毎年1月11日は亡くなった父のことを想います。
おやすみなさい。
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