ペットを欲しがる人が動物を殺しているという矛盾 〜福井パピーミル事件とその後〜

日常のこと

どうも愛犬家のノブです。

この二日間ずっと雨でした。うちの犬はちょっとした雨でも外に出るのを嫌うのですが、僕が雨の中ランニングから帰ったら

「ボクも連れていけ!」とリードを持ってくるので、雨の中散歩に出かけることにしました。

しかし

外に出てちょっと雨に濡れただけで「ボクやっぱ帰る」とマンションの入口に猛ダッシュ。エレベーターではボクの腕にしがみついていました。雨のせいで毛のカールがいつも以上にもしゃもしゃになりました。

自分でいうのも偉そうですが、うちの犬は幸せな方ではないかと思います。

毎日散歩に出かけて、歯磨きもして、栄養素の高い餌を選び。大切な家族だからしっかり長生きしてほしい。毎日愛情をかけています。

言葉を話せないので本音はわかりませんが、いつも楽しそうに遊び、家族が帰ってくると、必死で飛びかかってきます。寝るときはいつも一緒。僕ら夫婦に体をすり寄せてぐっすり眠ります。
(あ、僕よりも高い医療保険に入っています笑)

しかし、不幸な犬は世の中にたくさんいます

福井のパピーミルの事件

事件の概要

長いですが引用します。福井新聞2018年3月1日

犬や猫約400匹を過密状態で飼育、繁殖するなど動物虐待が疑われる施設が福井県坂井市内にあることが2月28日、公益社団法人日本動物福祉協会(JAWS、本部東京都)などへの取材で分かった。
同協会は3月1日にも、動物愛護管理法違反(虐待)などの疑いで、運営する動物販売業者を福井県警に刑事告発する方針。商品を大量生産するように子犬を産ませる「パピーミル(子犬工場)」と称される施設は全国的に問題視されており、この業者の繁殖場も同様の方式とみられる。

業者は、子犬や子猫を県内のペットショップなどで販売しているとみられる。

犬猫を大量繁殖させ販売することは、責任感の十分でない飼い主を生みだしかねず、同協会などは飼育放棄や殺処分を防ぐため、適切に取り締まれる法改正を国に訴えている。

同協会などによると、この業者は少なくとも2017年12月、坂井市の動物飼育施設で犬と猫合計385匹を飼育。狭いケージに入れたり、コンクリートブロックのマス内に50匹以上の過密状態で入れたりし、施設内には悪臭が漂っているという。1日1回しか餌をやらず、病気やけがの動物に適切な処置を行わないなど虐待の疑いが持たれている。

このほか、犬を厚生労働省の省令に定める登録申請していない疑いや、狂犬病予防注射を受けさせていない狂犬病予防法違反の疑いもあると指摘している。

同協会は県内の動物愛護グループなどから連絡を受けて状況を精査し、犬猫約400匹が劣悪な環境で飼育されていると判断した。刑事告発に合わせ、福井県や福井労働局などに対して指導監督申入書を提出する。飼育員の労働時間が労働基準法に抵触する可能性があるとして、福井労働局に調査と指導監督を求める。

2017年12月時点で飼育員の人数は2人。「飼育員1人で20匹が限界」との見解を示す同協会は、2人で約400匹の適切な飼育は不可能で、動物愛護管理法違反に当たると指摘している。県には、多頭飼育崩壊した場合の対応策を検討しているか業者に確認するよう要請する。
(赤字は引用者)

Youtubeに動画が上がっていました。とてもショッキングな動画です。

・・・言葉を失いますよね。犬たちは全員こちらを見つめ、必死に窮状を訴えています。

床は網目になり、糞尿はそのまま地下に落ちるようになっています。職員は二人。利益最優先の効率を求めた結果、このような悲惨な状況に陥っています。

その後

このパピーミルの管理者にどういう処分が下されたかはわかりませんが、福井県はたびたびこの施設を訪れ指導し、他の施設に犬を譲るなどし、現在は250匹を3人で面倒を見ているそうです。

これでもまだまだ不十分です。一人当たり80匹以上を見るということですから。
(一人30匹がMaxでしょう)

事件の影響

この事件を受けてのことかはわかりませんが、福島市内の大手ペットショップが生体販売をやめたそうです。賢明な判断というか、頭がさがります。

これまた福井新聞から引用。2018年7月28日版

飼育放棄された犬猫の殺処分や、大量繁殖場「子犬工場(パピーミル)」が社会問題になる中、福井県福井市内のペットショップが、子犬や子猫を店頭のショーケースに並べる生体展示販売の中止を決断した。命の「売れ残り」などが生じやすい手法を見直し、飼育放棄につながりやすい衝動的な購入を減らす。今後は、フードや用品販売、毛をカットするトリミングなど犬猫の一生に寄り添うケアサービスに力を入れていく方針で「飼い方や食事、しつけの助言で信頼されるショップになれば十分やっていける」としている。

生体展示販売をやめるのは福井市福新町のバウワウ運動公園店。1985年に市内で開業し、移転した現在の「北陸最大級」の店舗で、トリミングを行うほか、国内外のフード、用品を取りそろえる。運動場のドッグランも無料開放している。

開店当初から行ってきた生体展示販売の中止について、店長の酒井伸明さん(35)は「展示販売に否定的な人が一定数いて、自分自身も(否定的な意見に)一理あると思っていた」と話す。

生体展示販売を行うショップの多くで行われている「抱っこさせ、聞かれない限り詳しい説明をしないような、衝動買いをさせるやり方」には反対だった。購入後、説明不足が原因で「思ったよりほえる、毛がたくさん抜けるからいらない」と安易な飼育放棄につながるケースが少なくないことにも疑問を感じていた。

バウワウ運動公園店はこれまでも「ブリーダーから一匹一匹厳選してもらって」販売し、ペットの状態に応じたフード販売などアフターケアにも力を入れてきた。飼育上のトラブルが起きないよう心掛け、スタッフにも無理に勧めないよう指示。顧客に購入を思いとどまらせたこともあるという。

生体展示販売は今年3月に仕入れた子猫たちで取りやめ、犬猫を購入したい人にはブリーダーを紹介するなど相談に応じる。今後は厳選したフード、関連グッズの販売やトリミングに一層力を入れていく考えだ。これまでの知識と経験を生かし、「ペットライフを送る飼い主と信頼関係を築いて一生の付き合いになれば」と考えている。

生体展示販売を「犬猫の大量生産・大量消費の温床」と訴えてきた公益財団法人動物環境・福祉協会Eva理事長の女優杉本彩さんは「ペット業界は時代にあったモラルあるビジネスへの転換が求められている。(生体展示販売をやめる)英断に心から敬意を表したい」とコメント。買う側にも「自分の消費行動が動物たちを苦しめことを念頭に置いて、責任ある選択をしてほしい」と呼び掛けている。

僕もペットショップにはお世話になりましたし、ペットショップがなければ愛犬と出会うことがなかった。ペットと出会う機会が減る分、守られる個体もあるという意味で評価しなくてはなりません。

自分もここに加担しているという自覚

残念ながら溢れたペットは処分されます。

「生体」というのは保存することはできない。アイボならバッテリーを抜いておけば済みますが、生身の動物はそうはいきません。

ペットでなくても

以前屠殺場で豚をさばいていたことがありました。
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冷凍保存にコストがかかるので、日々の生産量に調整が入ります。ギリギリで生産していると、顧客の声に答えられないことがあり、いつも多めにさばいて取引量に応じて処分するという形を取らざるをえません。

週末など昼に殺した豚がそのまま廃棄に運ばれることもありました。

かわいそうと思いつつ、家ではしっかり豚肉を食べるし、食べ残すこともある。

一方ペットでは

ペットショップも営利企業によって運営されています。常に利潤を出していかなければなりません。

利潤が出なければ経費を削らなければなりません

スタッフを減らせば、一人当たりの扱うペット数が増えます。一部屋あたりの頭数も増えます。また保存料の多い飼料を使うことにもなりますし、健康状態が悪化します。

利潤を見込んで売らなければなりませんが、当然売れなければ営業にならないので価格を調整します。2ヶ月〜3ヶ月が過ぎると、一気に値段を下げるそうです。

我々が初めてペットショップに行った日には大型犬のボクサーが4,000円で売られていました。生後半年経っていました。これってほとんど価値ないってことですよね。おそらく処分されているのではないかと。。。

子犬ってかわいい

でも、これってあくまでお客の好みに合わせて”品”揃えや価格が調整されています。

小さく幼いペットってかわいいです。まるでぬいぐるみみたいに。さみしがり屋なので人になつきやすい。まだ個性が出来上がっていないので、飼い主の思う通りに躾やすい。

でもね、飼ってからの期間の方が圧倒的に長いんですよね。その時のノリで飼ってはいけません。

僕らもペットショップで犬を飼いました。

こういうニュースを見ると、「自分もこれに加担している一人なんだな」と考えさせられました。

誰もペットを欲しがらなければ失われる命は減ります。不幸にも選ばれないペットたちは、処分される。よく考えれば、現在の犬は全て人間の手により繁殖されているので、勝手なことなんですよね。

じゃあどうすればいいのか?

過度に利潤を追求することを許すようになると、最も効率的に薄利多売になっていきます。
営業としての効率と、各ペットの待遇は反比例していきます。

業者の善意の意思に期待はできない

とはいえ、事業主も利益を確保しなければならない。

そうなれば、過度に利益重視で動物を雑に扱っている業者に対して、
(1)罰則を与える
(2)褒賞を与える
(3)消費者が実態を踏まえて取引をせず

これらは必須です。すでに法律はあるはずですが、監視の目はまだまだ甘いと言わざるを得ません。多くの場合、多頭飼育が崩壊して地域の住人の通報などによって事件が発覚します。

薄利多売から高利少売

ペットの価格を引き上げるとどうなるでしょう。

安易にペットを買う人も減りますし、業者も一匹にお金と手間をかけられるようになります。

しかし、それで起こる弊害はたくさんあります。

誰でも買えなくなる⇒それに伴ってペット用具を売っているお店にも倒産は起こりうるでしょう。動物病院も儲からなくなるでしょう。ペット保険はさらに高くなるかもしれません。

しかし、産業全体が縮小してでも命を守ることって大切だと思います。これはあくまで希望ですが。

愛犬家がいるから、犬を欲しがる人がいるから、その需要に応えようとする人がいるから、販売の競争に劣る人がいるから……回り回ってこういうことが起こる現状を踏まえると、命の保全、求められない命を無理な繁殖で増やさないで欲しいです。

消費者が変わっていけたら

これからペットショップに立ち寄る際には目の前の個体のみを見ず、その子たちの裏側にたくさんの犠牲があるということを意識していただきたいです。消費者が変わらなければ業者も変わりませんし、国も変わりません。

人もペットも幸せに生きられる世の中になって欲しいと思います。

僕も自分ができることから始めなければ。

人間ってほんとに罪深い生き物ですよね。

(終わり)

リンク記事

以下のサイトには大変お世話になりました。お手すきの時にご一読ください。

https://endia.net/koinukojo
https://wanchan.jp/osusume/detail/4722
http://s-ma.cocolog-nifty.com/blog/2018/07/2018-7-27-a759.html
https://www.excite.co.jp/News/society_g/20141120/Litera_644.html?_p=2

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