本田直之『LESS IS MORE』/古い価値観のままでは不幸になる時代

書評・読書の実践

こんばんは、マーケターの延藤です。

本田直之さんの著書では5冊目の紹介です。


先日金融庁が定年後から死ぬまでに年金の他に2000万円の貯蓄がいると発表して、大きな話題となりましたね。
これで年金制度は崩壊だ、という人もいるし、たしかにそうだなと思ったりもします。

書評に入る前にお金について再考します

安定した生活はタダでは手に入りません。そのためには何かを差し出さないといけない。

以前は、それは会社に40年勤めることだったり、固定された環境で我慢することでした。
そのかわり年収は上がることが約束され、定年を迎えれば年金で死ぬまで支給された。

これ自体はすごくいいシステムです。

でもその前提が崩れることが明白なのに、昇給や昇進のために自分の生活を丸々譲り渡す必要というのはなくなってきています。

とはいえ、お金の稼ぐには働かなくてはならない。これは当然のことです。

お金ってどこまで必要なんでしょうかね?

皆さんは日々本当に必要なもの、欲しいものについて考えることはありますか?

この本には

  • 本当に必要なものは何か
  • 古い価値観のままでは不幸になる
  • 自由に生きるために捨てなければならないこと

について、これまでの常識とは真逆のポイントからスタートして、生きるうえでのヒントが書かれています。

この本の読者対象

(本書からそのまま抜粋します。)

・自由に生きるための「新しい幸せ」10の条件とは何か。
・日本はこれだけ豊かなのに、なぜ幸福度ランキングが低いのか。
・自由に生きるために、変えなければならないことは何か。
・自由に生きるために、捨てなければならないものは何か。
・新しいライフスタイルを求めて、何をするべきか。

本田直之さんってどんな人?

以前書いた記事に詳しいプロフィールを紹介しています。
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Less is moreは時代を象徴するキーワード


ドイツの建築家ローエ氏の言葉です。建築について語られた言葉ですが、非常に示唆に富んだ言葉です。

直訳すると、「より少ないことは、より豊かなことだ」。

うーん、これだけだと何のこっちゃ、となると思います。

物質至上主義は終わった!

こういう時は逆の発想をしてみましょう。

豊かなことは、より多くのものを持っている
ということである。

真偽はいかに・・・

真とは言えませんよね。一昔前には真だったかもしれません。

でもモノをたくさん所有する、高い家を買うといった、物質至上主義はもう終わりを迎えていますね。

この本の特徴

最初にいうと、本書はノウハウ本ではありません。こう生きるべきだというメッセージでもありません。

シンプルに生きること、今までの常識を疑うことの提案です。

各項目にたくさんの北欧の一般人の声が載っています。

オテットロエル(デンマーク人・製薬会社勤務)
「老費用しようと思えばできる。でもする必要がないし、人に見せることもない。お金があるからと行って、それを自分の表札に書いておく必要はないんです。」

(本田さんがインタビューでも、「他の税金の安い国に行って同じことをやれば、手取りが増えるんじゃないですか?」と聞くと、ほぼ100%の人が「それはしない」と答えた。ではどういう理由だったら「そうしますか?」と尋ねた質問への回答

ブライバイス(デンマーク人・不動産会社勤務)
「引越しをするとしたら、それは税金がどうかとかじゃなくて、どういう挑戦が与えられるかということです」

北欧式ライフスタイル

本書にはたくさんの北欧諸国の人のインタビューがありますが、有名人は出てきません。それがまたいいですね。
この本は北欧礼賛のように思える部分もあるけれど、同じ地球でこんなに違う価値観を持っている人がいるんだよ。
というのは参考になります。

なぜ「草食系」から学ばなければならないのか

P16にこういう見出しの内容があります。

簡単にいうと、
「若者の●●離れ」という言葉が数年前に流行りましたが、若者は別に離れたわけではないんですよね。そもそも近づいてもいないし、興味もない。さらにいうと、否定をしているわけではない。

ある意味賢い人たちとも言えます。

前述の物質至上主義の時代には、モノ買うことが良いこととされてきました。

「良いこととされた」、つまり社会や市場がそういうことを求めていたわけですよね。

今の若者はそんな言説には騙されません。お金をエサに過剰労働を強いることもできなくなってきていますし、それに対してノーを言える人が増えてきました。

親世代の物質至上主義に対して、懐疑的でもあります。

今の若者がすごいというわけではなく、明らかに時代が変わってきたと言えます。

モノで満たされる幸せは、消滅することはないけど、昔よりは大幅に目減りしています。

では仕事のモチベーションは何か? と言えると、これはまた難しいと僕は思います。

やりがいというのは多様ですし、それを若者が最優先して選んでいるとまでは言えません。これについては話が長くなるのでまたどこかで分析してみたいと思います。

今の若者を否定するのではない、時代の変化のポイントとして、捉えていきましょう。

日本人の消費に対する意識の変化

このブログを読んでいるのはおそらく30代の方だと思うけど、僕らは価値観のちょうど間にいきているように思う。

僕らより上(第2次ベビーブーマー)の世代はバブル崩壊後に就職したとはいえ、旧来の価値観が残っているし、そこから抜け出せない人もいる。

反対にいまの20代前半以下の人たちは「お金よりも大切なこと」について、考えている。

どうあったって生きられる国です。生きても餓死することなんてことは起こり得ない。

上につくか下につくか、という。おそらく下につく方が良い。これから高齢化社会を迎える日本という社会においては、いずれ下の世代に助けられる。付き合い方も下に合わせる方が良い。

ノブは旧世代な人ですが・・・

ちなみに僕はガチガチの旧世代のマインドです。

  • しこたま働く
  • 給料を上げるためにはハードに闘う
  • 周りにもそれを求める
  • お金が好き
  • 35年ローンでタワマンの最上階に住む

僕も20代の頃は小説を書いたら、自由を謳歌していました。それが気づけば今みたいに仕事人間に。。。ワークライフバランスはほとんど考えていません。
お客さんへ価値提供できて、その見返りがあれば、とことん自己と周りを追い込むタイプです。

ただ、そろそろこれも変えていきたいなと思っています。子供ができたからというのもありますが、一番は時代と合っていないことを痛感するからです。

「新しい幸せ」10の条件

著者の本田さんが、ハワイ、ニュージーランド、オーストラリアで過ごして感じたこと、また本書の北欧でのインタビューで見えてきた、『幸せの共通パターン』というのが紹介されています。

  1. 仕事を楽しんでいる
  2. 良い仲間、良い家族がいる
  3. 経済的に安定している
  4. 精神的.肉体的に健康である
  5. 刺激のある趣味やライフスタイルを持っている
  6. 時間を自分でコントロールできると感じている
  7. 住む場所をしっかり選んでいる
  8. 良い考え方の癖を持っている
  9. 将来の見通しが立っている
  10. ゴールに向かっている感覚を持つ

各項目の詳細・根拠については、本書の第1章『古い価値観のままでは不幸せになる時代』をぜひ熟読してください。

新しい幸せの形は、お金、時間、場所などから自由になるということだと本田さんは考えています。

まとめ:シンプルという言葉の捉え方

本書の中ではシンプルというワードがよく出てきます。

質素だったり制約がなかったりといった意味を表します。

でも、ひと昔前の日本人もシンプルだったんです。
大学に行く、車を持つ、就職する、結婚する、子供を持つ、家をローンで買う。

このサイクルに乗っていればよかったという意味で、彼らは非常にシンプルです。
毎日通勤電車に乗っていると、おじさんたちはみんな同じように見えますからね。

旧世代にとっては、これが最適化された生き方だったからです。

これからの時代では、シンプルに生きつつも、その時々で自分にとって最適解を探さなければなりません。
正解というのが個々にあるので、自分にとっての幸せ・価値観を見極めていちいち動き方を修正して行く必要があります。

ですので、幸せを掴むことに対して大きな格差が出てきてしまう時代になりますね。

これは注意点ですね。

この本についてはまだまだ紹介したい点がありますが、本日はこのあたりで。

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